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【本編】
6


夫「は……?」

理解するよりも早く
エレベーターの扉が閉まる

私「せっかく来たしね
でも、先方にはあなたの妻
だって特に言ってないから
多分驚いたんじゃない?」

夫(そうなのか⁉)

私「黙ってたつもりはないけどお詫びも兼ねてね」

今すぐエレベーターから
妻を引きずりおろすべきだと
わかっているのに
こんな時に限って人が多い

夫(ここで降りた後
それでなんて言い訳する?)

刻一刻と階数が上がっていく
どうしても言い訳が
考えられなくて

1つ下の階でエレベーターが
止まったのを見て瞬時に
身体が逃げようと動いた

だが、妻にしっかり腕を掴まれ
俺は身動きが取れなくなる

私「どこ行くの?
仕事抜けてきたんでしょ
会社に戻らなくちゃ」

夫「……っ!」

無慈悲にもエレベーターは
会社のフロアに着き、
律儀にも俺の同僚が出迎えていた

同僚「あ、佐倉さんですか?
お待ちしておりました
ってあれ……?」

同僚「え?佐倉……?
なんで……あれ?
同じ名前ってことはもしかして…」

夫「いや、ちがくて……っ!」

慌てる俺の傍から
すっと妻は同僚の前に進み出る

私「はじめまして
私佐倉ヨウタの妻なんです
今回はご依頼いただきまして
ありがとうございます」

同僚「えっ?
佐倉さん、佐倉の奥さん
だったんですか?」

私「はい、実は」

同僚「えーっ知りませんでした
凄い偶然ですね」

私「そうですねぇ」

私(もちろん知ってて私が
知り合いに紹介してもらうよう
営業かけたんだけど)

同僚「びっくりしました
あーじゃあ先に奥さんが
仕事に復帰したんですね
佐倉、育休中ですけどちゃんと
育児にかかわってます?笑」

夫(っ……!余計なことを!)

同僚だからその親しみからか
一番言ってほしくないことを
言われて俺はその場に硬直する

私「え?育休中?」

私「夫は毎日仕事に
行ってますが……?」

同僚「え?いやでも
半年前からずっと育休で……」

同僚の不思議そうな顔が俺を見る

ダラダラと汗が止まらない
逃げたいのに体が動かない
恐る恐る顔を動かした先の妻は
なぜか、俺を見てほくそ笑む

私「あなた、育休取ってたの?」

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