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【本編】
1


夫「『1人で育てろ』って
言ったのに
よくそんな風に人に頼れるね?
しかも仕事じゃなくて
家族の為に働いてる俺の
跡をつけて探偵ごっことか」

淡々と信じられないと
私に軽蔑の目で見る夫が
こっちこそ信じられない

私「しらばっくれる気っ……?」

夫「なにを?」

にっこりと有無を言わさぬ
笑顔で笑って
夫は私の背中をトンと押す

夫「とにかく心春を
迎えに行きなよ
今日のところは見なかった
ことにしてあげるから」

私「……っ!」

夫「クミもさ
どんなつもりでここに来たか
知らないけど
この際、もっといろんなこと
改めたほうがいいよ?
育児とか家事とかね?」

私(これ以上ここにいても
この人は浮気を認めない……)

女の家に入るところを
押さえたのに認めると思ってた
私がばかだった

私は震える肩で深く俯き
わざとらしくならないように
顔を手で大げさに覆う

私「ごめんなさい……」
と謝ると夫が余裕の表情で
私の背中をポンポンとさする

夫「気にしてないよ
じゃあ、俺仕事があるから」

マンションへ入っていくのを
今度は黙って見送り
すんと顔を上げた

私(住所と写真ゲットっと)

夫が泣いてると勘違い
してくれたおかげで
その場で写真を消せ
とも言われなかった

私(泣くわけないでしょ
  っていうか、そこまで
頭が回らないのか馬鹿なのか)

古民家カフェに戻り友達に
お礼を言って心春と家に戻る

夫が帰ってきたのは
いつもより遅い時間だった

私「おかえりなさい」

おずおずと弱気な妻を演じて
みせると夫は簡単に油断する

夫「あのさ、俺考えたんだけど
もう心春を保育園に入れたら?」

私「えっ?」

夫「もう3ヶ月だろ?
預けられるところもあるんだって」

保育園には生後半年で入れるつもりだったけど、なんでいきなり?

夫「時間を弄んでるから
今日みたいなことが起こるんだろ
それなら働いてくれた方が
心春の為にも家庭の為にも
なるからさ」

そうしたほうがいいと
優しさを滲ませて語る夫の
しらじらしさがすごい

夫が夫婦生活を続けたい理由
を考えてすぐにピンとくる

私(ようは遊んで
離婚するまでの間、浮気が
バレたくないってことね……)


私「今も取引先との繋がりは
あるしフリーランスだから
働こうと思えばいつでも働けるよ
でもだったら、あなたが
育休取ったらいいんじゃない?」

夫「えっ?」

想定外だったのか
夫は驚いたように私を見る

私「育児はしなくていいからさ
代わりにその間、家事をしてよ
そしたら保育園代も浮くし
別に悪い話じゃないでしょ?」



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