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【本編】
5

夫「は?何言って…
父さんはだって
なにもしないじゃんか」

義母「……お父さんはね
あなたの言う通り
家じゃ動かないわ

でも、お母さんがそれを
よしとしてるのは
お父さんが怖いからじゃない

お父さんがしっかりお金を
稼いできてくれるからよ?」

困った子ね…と本当に
心から困った顔で義母は続ける

義母「だからお母さんは
専業主婦としておうちのことを切り盛りしてるの

お父さんは寡黙な人だけど
別に亭主関白じゃないわ
ちゃんと私を労ってくれるし

そんなあなたみたいに
いきなり妻と子供を放り出す
ような人じゃありません」

義母「不器用だけど
とっても優しいことリョウも
わかってると思ってたわ」

夫も私もそうなの⁉と
恐らく同じことを考えている

義父のことを話す義母は
怒りながらもどこかに
惚気ているようなニュアンスを
感じさせたからだ

義母「クミさんから聞いたけど
あなた共働きなのに
家事も育児もなんっにも
してないんですって?」

夫「えっ」

義母「なんでもかんでも
ほったらかしで
あげく休んだ分の時給って
言ってお財布からお金を
取っていったって聞いたわよ!」

夫「ちょっと母さん!そんな話
今ここでしなくても…!」

私たちのいる場所は
まだ玄関前
外にも中にも筒抜けだった

義母「母さん恥ずかしくて
恥ずかしくて顔から
火が出るかと思ったわ…」

昨日の夜に私が話したことを
ほうっと悲しそうに思い出す義母

義母「うちの息子は…
なんてケチなのかしらって」

夫「!!」

義母「それなのにお父さんと
おんなじ扱いがしてもらえると
思ってたのねって…」

夫「か、母さんが
専業主婦なのは時代だろ!
俺らの世代は
共働きが普通なんだよ!」

義母「だからそれなのに
なにもしてないから
口だけで恥ずかしいって
言ってるんじゃないの…」

もうこれ以上は聞いてる
こっちが恥ずかしいと
イヤねと義母は頬に
手を当てて首を傾げた


義母「リョウが浮気してたら
どうしようって
ずっと悩んでたわ

でもクミさんに伝える
手段もないし
会うときはいつも
あなたと一緒だし……

証拠もあるわけでもないから
夫婦に波風立てるような
不確定なら言わないでおこう
って思ってずっと
言えなかったけど……」

義母「夫としても
父親としても
なにもかも義務を
放り出してるなら話は別よ」

優しさの中に瞳に
有無を言わさぬ圧がある

義母「こんな離婚は
認められないから
しっかりお話ししましょう?
体調が悪い中申し訳ないけど
この部屋にいる
彼女も交えて…ね?」


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