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【本編】
3

放心している私に
夫はニヤリといやらしく笑う

夫「じゃ、あとよろしくな
この家の退去
手続きだけしといて
家賃払ってやるから
最短で出ていけよ」

そう言ってすたすたと
家を出ていってしまった

私「………」


まだ年が明けて3日

家の中にたった一人

言いたいことがたくさん
あったのに私は
夫の都合のいい条件で
終わらされそうになってる

当事者のはずなのに
話し合うこともできず一方的に

ずっと、どうすればここから
抜け出せるんだろうと思ってた

最後まで好き勝手されて
なんて情けない終わり方

私（私はなんで今まで
離婚しなかったんだろう……）

時間は待ってくれないー
これからどうしようかと考えて
考えては消えていく

息子「ただいまー」

何も調べることもできず
あっという間に
2時間が経っていた

息子「ママ、電話したのに―」
私「ヒロ…」

息子がパタパタと入ってきて
次に義母が袋を持って入ってくる

義母「ただいま、メール
したんだけど
帰ってこなかったから
いちおうお弁当買ってきて…
クミさん、大丈夫？」

私の状態で夫との話し合いは
悪い結果になったと察した義母が心配そうに声をかけてきた

息子「パパは？」

私「あ……お仕事に行くって」

どう説明すればいいのか
息子にとっていいのか
わからなくて濁してしまう

息子はそっかぁと言いつつも
すぐに私の方に来て
なぜかぎゅっと私を抱きしめた

息子「ぎゅーーー」


私「えっどうしたの？
外疲れちゃった？」

息子「ううん、ちがーう
なんかしんどそう
ヒロがぎゅーってしたら
ママ元気出るでしょ？」

何にも言ってないのに
隠しきれてない自分が
情けなくて仕方ない

私がしっかりしなきゃ
どうするんだ

養育費なんかいらないって
つっぱねたいけど現実は厳しい
子どもを守るお金は
いくらあってもいい

私「うん…ありがとう
ぎゅーしたからもう元気！」

義母「……」

義母の買ってきてくれた
ご飯を食べて息子がテレビを
見てる間に離れて義母と話す

私「これを置いていきました
お義母さんに渡せって」
義母「………これを…？
ああ……クミさん…」

私「書きますよ
そうするつもりでしたから」

どうしたものかと義母が
私と離婚届の間で
視線をさまよわせる

私「もしお義母さんが
少しでもヒロのことを
思ってくれているなら
最後に私のお願い
聞いてくれますか」


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