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【本編】
2


私「……放してよ…っ」

叩かれた頬が痛い
夫に手を出されたのは
初めてだった

動こうとしても
夫の手から逃れられない

私(怖い)

同時にこんな夫に好きなように
されてしまう自分に悔しさが
激しく込み上がってくる

そんな私を見下すように
笑い夫は私の服から手を離す

夫「ごめんごめん
ついカッとなっちゃってさ」

息を吸ってはいて自分を
落ち着かせる私のすぐそばに
夫がしゃがみ込んだ

夫「あることないこと
勝手に妄想して話すのは
よくないぞーー?」


私「あっあんたが…」

夫「浮気でもしたって
言いたいのか?心外だなぁ」

はははっと紳士的な外面が
逆に不気味だった

夫「俺とお前は夫婦として
価値観が合わなかった
だから、離婚なんだ」

私「……!!」

夫「それ以外でも
それ以下でもない
わかったか?」

夫はすたすたと歩き
寝室のクローゼットから
スーツケースを引っ張り出す

夫「財産分与はなし!
養育費もこっちに
請求してくんなよ
俺は面倒見たいけど
お前がそれを嫌がるんだから」


私「なっ……!」

夫「離婚届は書いて
母さんに渡しといて
ちょうどいいいし」

私「勝手に決めないでよ…!」

夫「勝手じゃないだろ
お前だって俺と
離婚したいんだろ?
いつ見ても俺のこと
ウザそうに見てたもんなぁ?」

夫「だから、お前の願い
叶えてやるよ!」

荷物を詰め込む夫は
いきいきしていた

夫「あーでも正月か
役所ってやってねえのかな…

まあいいや!来週には大嫌いな
俺ときれいさっぱり
縁切れてるだろうな!」

夫「だからさあ」

夫の手が顔に振り下ろされて
思わず目を瞑ったが

夫「クミ」

今度は頬ではなく
肩をぎゅっと握られていた

夫「最後くらい俺の言うこと
ちゃんと聞いてくれよな
その方がお互い幸せに
なれるだろ?」

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