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夫「ひぐっひぐっ…っ」
夫の胸倉をつかむ私の顔の
そばで頭を下げながら
夫が泣き始める
夫「ご、ごめん……
ごめんってば……っ
わかったからっ………
だから、実家にだけでも…
一緒に……っ」
謝るかと思えば結局自分のこと
夫の服から手を離す
私「懲りないわね…
行くわけないでしょ」
夫「っぐっんぐっ…でも」
私「じゃあ後は弁護士から
連絡するから」
夫「じゃ、じゃあ実家に
行ってくれたら別れる！
別れるから！」
私「じゃあこれ以上言うなら
慰謝料増額するね？」
夫「へっ⁉」
私「あなたといることが
もう精神的苦痛だから」
夫「それはやめてよ…！
そんなことされたら俺！」
私「じゃあやることは
わかるよね？」
私の笑顔に
コクコクっと夫が頷く
私「じゃあねさよなら
もう二度と現れないで
スマホと一生仲良くね？」
私が最後に見た夫は
泣きべそをかきまくった
情けない姿だった
それから離婚は成立し
貯金で使い込まれたお金を回収
慰謝料は都度分割で支払って
もらうことになった
ミサはミサで私に一括で
支払うと配信で宣言したらしく
割と早めに慰謝料が満額
減額なしで振り込まれた
妹「もう配信してないっぽいね
ある意味顔広まったから
続けると思ってたけど」
人気配信者とのコラボの際に
事務所に不倫の事実を
隠していたからもしかして
賠償金の支払いに追われてるのかもと妹は言っていた
私はお世話になっていた
妹の家から引っ越し
思い切って仕事を変えて
田舎に引っ越して住んでる
ミサからの慰謝料を使って
1年間だけ自由に
暮らしてみることにした
いつかは子どもができたらと
考えていた自然に近い生活
でも本当はそんな区切りなんて
いらなかったんだとわかった
やりたいことは今やる
そうじゃないとだんだん
チャンスを逃してしまう
曖昧な気持ちのまま過ごして
しまうことがどれだけ
自分の人生にとって
損失なのか身を持って学んだ
元気なうちになんでも
やってみる
もちろん健康維持も大事だけど
これからは自分の気持ちを一番
大事にしようと思う
そんなゆとりある時間を
自分のご褒美として
使わせてもらうことにした
来年のクリスマスには
いったいどんな自分が
待ってるかわからない
お金も仕事もないかもしれない
でも、今は、今が
いいならそれでいい
完
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