【前回のお話はこちら】

【第1話はこちら】

【本編】
5


夫「出てけよ…出てけよぉ…」

力の限り私への不満を
ぶつけたあと
すすり泣く声で夫は
繰り返し呟いてる

妹と従弟がまた大きく
怒りだしそうなのを手で止めて
私は夫に話しかけた

私「あなたが辛い原因は
全部私のせいってこと?」


夫「ぐずっ……そうだよ
別にクミが不妊でもなんでも
病気にさえならなかったら
子どもだってふつーできて
ふつーに生活してたのに
そういうの全部最初から
壊してもいいくらい
子どものこと真剣じゃねーし」

ああ、だからだ
これだからだ

だから夫との子を作る
努力をしなかったんだ

気づきたくなくて
傷つきたくなくて
だから向き合いたくなくて
過去の思い出に浸って
誤魔化そうと戻ろうとしてた
少しでも夫との未来を描く
自信がずっとほしかったから

私(もう無理だったのに)

私「………そうだね
私、子ども本気で欲しいって
もう思わなくなってた」

悔しい、泣きたくない



夫には見えてないけど
泣いてるなんて
気づかれたくない

妹と従弟が私に寄り添い
肩を支えてくれる

夫「ほらなぁ……
被害者は俺の方なんだよっ
ずっとどっちつかずの
態度とって母さんたちには
媚び売って……」

夫「子どもが欲しいのか
欲しくないのかわかんない
その態度がイヤだったんだよ」

私「だから私の話も
いつも中途半端にしか
聞いてなくて……ずっと
スマホ触ってたの?」

泣き止んだのか落ち着いたのか
夫の声には余裕が見えてきた

夫「そーかもなぁ…
だってクミすぐ文句言うし」



夫「子ども作る気がないなら
作る気がないで
さっさと話してくれりゃ
よかったじゃん…

それがお互いのためだろ?
俺から言えば子どもが
産めないから捨てたって周り
から言われるようなもんだし
そこはクミが察知して
別れをつつましく
切り出してくれてたらさぁ…」


少しの嘲笑と泣き止んだ鼻声で
話す夫は清々しそうだ

私「………そう」

夫「そしたら今こんなことに
なってないだろ?なぁ?」

同意を求めてくるくらい
私は夫に共感する
要素があると思われてる
ところが許せなかった


私「それがあなたの
答えなんだね」

無意味に冷たくされ
あしらわれ孤独を味わった
まだやり直せると信じていた
あの頃の自分全てが
全力で反論する

『そうじゃない』と

私「いくら正当化したくても
正当化できないよ
先に道を間違えたのは
あなたなんだから」


【次のお話はこちら】

ーーーーーーーーーーーーーー
\各お話のまとめはこちらから


コンテスト受賞した作品がYoMuRyでコミカライズ連載が完結しました!
【第1話はこちら】

【お話を(全16話)を完結まで読みたい方はこちらへ↓】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
更新通知のお知らせが届きます!
よかったらぜひダウンロードしてみてください!
ライブドアアプリで読者になる

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー