夫「スマホのパスワード

どうせ盗み見て俺の

スマホいじったんだろ！

そうじゃなきゃ

こんなにピッタリ

張り込めねえもんな！」

ドア越しに鼻息を荒くして

心のまま叫ぶ夫の声がする

私「パスワードなんて

知らないわよ。ずっとスマホ

持ち歩いてるくせに」

私「いつ私がそんなこと

できると思うの？」

パスワードをこっそり

ゲットして夫のスマホを

寝てる間に調べたとでも？

私「そんなことしなくても

配信でのやりとりを

見てれば大体わかるでしょ…

そのために入院するって

嘘をついたんだから」

妹「家に勝手にあげてるしね」

妹「ケイタさんさぁ

ただの配信者になら

ガチ恋ファンでいられたのに

もう心の浮気通り越して

現実でやっちゃってるの

みんな知ってるんだよ？」

従弟「早く出てきて

クミ姉に謝って償え」

夫「だからなんで

義妹ちゃんたちにまでっ……

責められねーと

いけねーんだよ！」

ドアの奥、夫の声は震えていた

夫「元はと言えば全部

クミじゃん！！！」

私「！」

夫「勝手に病気になるわ

勝手に入院するわ

勝手に子どもが

できないかもって言い出して

勝手に落ち込んでさ…！

自分がどんだけメンヘラ

なのかわかってんのかよぉっ」

夫「義妹ちゃんたちには

どうせいいとこしか見せてねーんだろ

クミはなぁ不妊治療するなら

金も出せって強要してさ

自分で出せって言ったら

機嫌悪くなってなんもしねえ！

そんな奴なんだって……

俺は…俺はお前と同じこと

してんのにどうして

俺だけが責められねーと

いけねえんだよぉっ」

うっうっつうっと

夫が泣いてるのがわかった

夫「うわああああああ」

子どもみたいに声をあげて

泣いている夫

妹も従弟は異様な物質を見る

ように夫の立てこもる

部屋のドアを見ていた

妹「なにこいつ…」

従弟「クミ姉

気にしなくていいから」

妹「不妊治療は夫婦の話

だからおかしくないでしょ…

なんで自分ばっかり

負担があるみたいな

言い方してるの……」

従弟「しかもクミ姉が

病気になりたくて

なってるわけないじゃん…」

もっともな2人の言葉に

深く深く闇の中に陥りそうな

自分の意識を何とか保つ

私「ケイタ……」

夫「なんだよ……っ！

お前がこうやって拗らせるから

大事になるし、フラれるし！

俺に優しくして欲しかったなら

不妊治療でもなんでも

金かけとけばよかったろ！

自分が悪いくせに…っ

俺を悪者みたいに

してんじゃねーよぉっ！」

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