【本編】
1


私「ねえ、話聞いてるの?」

平日でも土日でもいつでも
私の夫はいつもスマホに夢中

私「ねえったら!」

1回じゃ反応しないから
用があるときは何回も夫を呼ぶ

夫「なに?なんか言った?」

私「なんかじゃなくて今日
お義母さんちの法事行くって
言ったのあなただよね?」

私「なのになんで何も
準備してないの⁉」

まだスウェットのままの夫を
指指す私の準備はもう出来てる

夫「あーはいはいお前の方が
時間かかるから
待ってやったんじゃん」

そう言いながらも夫は
手からスマホ
耳からイヤホンを離さない

夫「はい、着替えた。行くぞ」



車に乗り込むと運転席じゃなくて助手席に座りくつろぎ始める

私「え…
あなたの実家に行くんだから
あなたが運転してよ」

夫「ええ?」

運転席に乗らず外から
話しかける夫にイヤホンを
外しなんで?と顔を向けてくる

私「そのイヤホンつけっぱなしで人の話聞くのやめて」

夫「別にコレつけてても
周りの声聞こえるタイプだから
普通に聞こえてるっつーの
文句あるなら売ってる
メーカーにでも言えよ」

私「聞こえてないから
言ってるんじゃん!」

夫「はいはい…
もうすぐ配信はじまるから
無理だってお前が運転して」

ぐちぐち言いながら夫は
助手席に座りなおす

私(いっつも配信が優先じゃん
自分の実家で法事なのに)

このまま行くのをやめて
しまおうかと思うくらい
イライラしながら
私は運転席に乗り込んだ

私はクミ。夫のケイタと
結婚して3年が経つ
同棲期間も入れれば5年は
夫と一緒に生活していて
仲は普通の夫婦なはずだった

私の病気が発覚するまでは

私「子宮に病気ですか…?」

医師「そうですね
…手術が必要です」

特に体に異変はなかった
だから嘘だと思いたかった

手術は比較的に難しくなく
簡単なものだと聞いていたが
手術ということに変わりはない

無事に終わったし経過も
良好だったけれど……

結果として私は子どもが
できにくい身体になったらしい

可能性はわかっていた
でも、いつかは子どもを…
そう考える気持ちがあったから

子どもを当たり前に
産めないという事実を私は
なかなか受け入れられなくて
暗く沈む私に夫はだんだん
嫌気をさすようになった

両親も義両親も心配してくれたが逆に心が痛かった

夫「もういい加減にしろよ」
私「…うん。ごめんね」

責められるのは辛かった
でも、子どもが産めないのは
私だから謝ることしかできない

誰よりも夫には
許してほしかったから
でもそんな許しを夫には求めないでよかったのかもしれない

夫「自分だけ悲しいみたいに
メソメソすんなよ
悪いと思うなら不妊治療でも
なんでもしろよ」

【次のお話はこちら】


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