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【本編】
3

※マサユキ視点で進みます※

クミが運転している助手席に
座る俺の頭は真っ白だった

クミ(私)「どうしたの?
ちょっと冷房効きすぎてる?」

夫「……いや大丈夫」

クミの声が聞こえて
やっと家の近くまで
帰っていることに気づいた

クミ(私)「今日の晩御飯は
マサユキが作ってね
いつも私ばっかり
作ってるんだから
あ、スーパーあるよ
なにか食材買っていく?」

冷蔵庫の中身を
軽快に話すクミが
とても信じられない
さっきのことは全部俺の夢
だったのかと思うくらいに

夫「……どうして
そんなに普通にしてるの?」

クミ(私)「なにが?」

夫「俺のこと許せないって
言ってたじゃん……」

クミ(私)「そうだね」

夫「なら、なんでっ⁉
今さら普通の生活なんて
できるわけないだろっ…?
クミの気持ちはわかるけど
クミにとっても
プラスにならないのに
こんなの時間のムダだろ…!」

クミ(私)「マサユキは
まだわかってないんだね」

夫「なにが…っ」

クミ(私)「無駄かどうかは
私が決めるの」

夫「……!」

クミのふわふわした髪と
こっちを見てくれる笑顔は
昔と変わらないはずなのに

夫(誰だ…これ…
こんなクミ初めて見た……)

女ってここまで変わるのか
今日実家での出来事は
クミが本当に仕組んだんだと
思うと身体がぶるっと震えた

夫「…えっと…
無駄って言うか……
もう今となっては
俺も離婚されて仕方ないって
思ってるから…で」


私(クミ)「それなら
私と一刻も早く離婚できる
方法を考えたら?」

クミはスーパーの駐車場に入り
ピタリと車を綺麗に止める

私(クミ)「別に私だって
結婚を続けたいと思ってる
わけじゃないから」

早く出て?と促され
車から慌てて降りた

クミ(私)「あなたの大好きな
サオリといーっぱい相談して
幸せになれる方法を
考えたらいいんじゃない?」

そう笑って先に歩くクミは
怪しく綺麗だけど
俺を見る目が変わり
切っていることに気づいた

夫(なんでこんな
ショックなんだ)

隠したかったことがすべてバレ
みんなからも軽蔑された

嫌われる、責められる
俺が悪いとただ怒られる
あれほど怖かったことが
たった数時間でガラスよりも
早く崩れて割れて散った

一瞬だった

サオリに違和感を感じたのも
一瞬だったのに本質なんじゃないかと考えてしまう自分が怖い
続いていく道が幸せになるとは
今、どうしても思えない

夫(この後がこんなに
大変なんて…聞いてないよ)


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