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【本編】
13

長い長い沈黙のあと
彼女はぽつりとつぶやいた

あゆ「…………すみません」

私「なにが?
なにがどう悪いと思ったのか
教えてくれる?」

あゆ「……その…夫さんと
こんなことに…なって、です」

私「結婚してるって
知ってたうえで…ってこと?」

私「私の認識で
間違いないかしら?ん?」

悔しそうに彼女は首を縦に振る

私「で、す、よ、ねぇ…
あなた最初夫から私が
作ったお弁当
もらってたわよね?

あの時手紙くれた時から
ずうっと怪しいな
って思ってたの」

私「今日、夫が姉と
住んでるって嘘ついたとしても
ごはん中ずーっと変だなって

あなたみたいに
気が使える愛想のいい子が
義姉にあてて手紙書くなら
「おねえさんへ」って
書くじゃない?

それなのに名前もなにもなくて
ただ女であることを匂わせる
ようなことしてるから」


私「ああ…この子は最初から
「私」に宛てて書いたんだって
わかっちゃった」

震えながら青ざめる彼女は
悔しくてたまらない様子だった

夫「な、中原ちゃん…俺」

あゆ「……あの、会社には
このことばらさないで
もらえますか」

私「別にいいけど……」

私「あなたがちゃんと証拠を
提供してくれるのなら
スマホ見せてくれる?
メッセージを確認したいので」

あゆ「…はい」

私(やけにいうこと
聞いてくれるな…)

ごそごそとスマホを
とりだそうとする彼女の手が
ピタリと止まる

あゆ「あ……でも奥様」


あゆ「わ、私はその
夫さんと関係を持ってた
わけじゃなくて…!
本当に夫さんを支えたい一心で
清い関係だったんです…!」

何とかこの場から
逃げてなかったことに
したいという焦りが
ありありと見える

私「……つまり浮気
身体の関係はなかったと?」

あゆ「……はい!
そうです……!」

言ってやったといいながら
夫に何も喋ってほしくないのか
すぐに夫に圧をかける

あゆ「ですよね…夫さん」
夫「あ………う、うん!」

水を得た魚のように夫は
ペラペラ話し出した

夫「そう、そうなんだよ…!
そこはほんとに何もなくて」


私「なにもない…本当?」

嘘を積み重ねるお礼に
私は少しだけ、信じてあげる
素振りだけ見せてあげた

夫「嘘をついたことは謝る…!
でも俺にも良心ってものが
あるし中原ちゃんは
中原ちゃんでいい子だし…!

だからこうやって家に
来てくれてはいたけど
ほんと浮気っていうわけ
じゃないんだよ…!」


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