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【本編】
1


私（ごちそうさま…でした？）

淡いピンク色のメモ用紙に
可愛くきれいな文字

なに、これ、どういうこと？

さっきまで頭の中で考えて
いたことが吹き飛んでいく

メモを震える手で横に置いて
お弁当箱を静かに開ける

中身はからっぽ

でもいつもと違って
おかずが入ってたアルミカップもお弁当箱の汚れもない

私（水洗いしてくること
なんかしないのに）

夫以外の誰かが私の作った
お弁当を食べたらしい

私（なんで？）

妻が夫に作ったお弁当を
食べてごちそうさまでした？

相手が女なら宣戦布告の
ようなものなんじゃないか？


人に浮気を疑っておいて
自分は浮気してるの？

夫への不信感が高まっていると
のんきにお風呂から出てきた

夫「あっごめんごめん
お弁当洗うの忘れてた」

私「……洗ってあるけど？
これ、なんなの？」

夫「えっ？」

洗ったお弁当に添えられた
手紙を夫に突きつける

私「こんな手紙までつけて
くれちゃってさ、嫌味なの？
どういうこと？」

浮気してるって疑っておいて！
自分は何のつもりなんだ

夫は動揺するどころか

夫「あー！ごめんごめん！
中原ちゃん、お弁当箱まで
洗ってくれてたのかぁ」

私「…は？」

夫「クミもごめんな…！
今日、俺さ打合せが
急に入っちゃってさ」

夫「それで飯食って
腹いっぱいだったんだよ

戻ったら昼時だったんだけど
ちょうどお昼食べに行けない
くらい忙しい子がいてさ

せっかく作ってもらった
弁当無駄にするのも悪いから
あげちゃったんだ」

私（ほんとかな…でもこの反応
嘘をついてるように見えないし…
私もちょっと決めつけすぎ…？）

まだ入社して1週間しか
経ってないよく知らない人の
弁当をもらうのか？と思ったが
実際にお弁当はキレイだった

夫「まあ、人助けだと思ってさ
そんなに怒んないでよ
浮気とかじゃないんだからさぁ」


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