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本編

3

彼「え…結婚式に?」

ちらっとマイコの様子を伺う彼は
すでにマイコの尻に敷かれているようだ

マイコ「わーミサトが
祝ってくれるなんて嬉しいなぁ♡

でも結婚式かぁ…

あげるかわかんないんだよねー…?
だって妊婦だし…
なにがあるかわかんないじゃない?」

さっきまで『親友に祝福してほしい』
そう言っていたのはどの口なのか

私「そうだよね、大変かもね
でも言ってたじゃない?

結婚するなら絶対式あげて
ウェディングドレス着るんだって

最近インスタに式場のカタログも
あげてたよね?

まさか彼との結婚だとは
思いもしなかったけど!」

マイコ「ま、まあね
出来たらもちろんするつもりだよ…」

私「じゃあ絶対に呼んでね
それが私が彼と別れる条件だから」

彼「ミサト…俺は…!」

私「大丈夫、もう怒ってないよ!
よく考えてみてよ
私、あなたよりマイコとの方が
付き合い長いんだよ?」

にっこりしてあげると彼は
重荷を降ろせて安心した顔をした

彼「そうか…よかった…!
ミサトは本当にいい奴だな…!
結婚式には必ず呼ぶよ!な?マイコ!」

マイコ「えっ…あ、うん。勿論よ」

私「ありがとう。嬉しいな!」

私(かかった…)

冷めたコーヒーを飲むふりをして
私はにやりと口角をあげた

私(こういう言い方をすれば
マイコは私を断れない)

長年一緒にいただけあって
マイコの味方の作り方を私は知っていた

まず周りからだ
優しさたっぷりで塗り固めて
話を進めるとあら不思議
皆がマイコの言うことを聞くように
いや聞かないといけない雰囲気になってる

私(だから同じことをしてあげただけ)

私「結婚式楽しみだね!
何なら私余興でも
スピーチでもやっちゃうよ!
高校時代からの親友だもん」

彼「本当に?う、嬉しいなあ」

彼は私が怒ってないこと
それとも取引先の相手である私と
トラブルにならなかったことに
心底ほっとしたのか
自分が最初から私と付き合って
いなかったかのような受け答えをする

私「私も嬉しい!
大好きな人たちが結婚するんだもん
こんなに幸せなことはないよ!」

だから私も、のってあげた
今、彼が求める『キューピット』として

ご機嫌になる彼とは真逆に
マイコが内心苛立っているのがわかった

マイコ「わ、わー嬉しい~
あ…なんかお腹痛いかも…!」

彼「大丈夫⁉うちに帰ろうか
ミサト、悪いけど
また式が決まったら連絡する…!」

私「うん、楽しみにしてるね」

私(家…もう同棲までしてるんだ
だから最近…家に
行かせてくれなかったんだ)

浮気を目の当たりにした事実が
私をさらにどす黒い感情に落とし込む

私(ねえ、マイコ…
今日私が泣きじゃくると思ってた?

ううん、私が苦笑いで
必死に我慢してお祝いしてる姿が
見たかったんだよね…?

これまでと同じように
屈辱を味わってほしかったんだよね?

でも、そうはさせないから)


続く

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