本編

1

私はトモカ。飲食店の調理スタッフとして働いてる
夫と結婚して数か月で妊娠が判明
もうすぐ妊娠4カ月に入るところ

友人の紹介で知り合った夫は奥手な私とはちがって
明るく話し上手で誰からも好かれる存在だった

いつもネガティブに考えがちの私の心を
晴らしてくれる楽しいパートナー
そう…妊娠するまでは

子どもが出来たと知らせた時
夫は心から喜んでくれたわけじゃなかった

夫「子ども…か。俺がパパになるなんて信じられないな」

私「…もしかしてまだ欲しくなかった…とか?」

夫「まあ2人だけの新婚の時間を
もっと過ごしたかったってのも嘘じゃないけど…
こんなに早く妊娠するとは思ってなかったからさ」

私「避妊してない限りは妊娠する可能性はあるんだから…
お互いそれをわかってるはずでしょ?」

夫「ああそうだよな…ごめん!
ちょっと怖くなっちゃってさー!」

私「そっか、そうだよね。責める様な言い方して私もゴメン」

私(…親になるって実感わかないのもわかる
父親の自覚が湧くのも生まれてからっていうし…こんなものなのかも)

避妊をしていないのに無責任だなとも
思ったが明るく謝ってくれる夫を私は気にしないことにした

私(子ども生まれるしそれまでは仕事も頑張らないと!
育休って使えるのかな…)

サービス業だったこともあり産休育休を取得しても
その後仕事に復帰できるかは厳しい…

私(土日に休みなんて冠婚葬祭くらいだったし…ムリかもしれない)

実際に女の先輩で妊娠が発覚するとみんな
出産前に辞めていく人がほとんどだった

私(出産前までは頑張って働こう…!
産後は平日だけの調理スタッフを探せばいいし経験もあるしきっと大丈夫)

正社員の給料とバイトでは手取りが違う
生まれてくる子どもの為にもギリギリまで働いて
貯金をするつもりだった。でも…

私(なんかムカムカする…気持ち悪い)

全身の倦怠感に凄まじい眠気
そして四六時中続く吐き気
自分が悪阻がひどいほうだと
知るまでに時間はそうかからなかった

妊娠判明から電車に乗るのも気持ち悪く
ガタガタする揺れに耐えて出勤

私(気持ち悪い…でも働かないと)

エネルギー摂取の為にゼリー飲料を飲んで仕事の準備を始める

隣で後輩が作ったスープの匂いに吐き気がこみ上げダッシュで従業員トイレに駆け込んだ

私(ダメ…!ここで吐いちゃいけない!)

悪阻とは言え嘔吐だ

衛生面を考えると、仕事の許可は下りず結局帰宅
その日を境により悪阻がひどくなり食べられそうなものを食べても吐く
その繰り返しだった

結局、安定期に入るまで休職することに

私(いっそ退職した方が気持ちが楽かも
生まれるまではコールセンターとか座ってできる仕事を探して…)


気持ち悪いだるさを抱えながらも
『休んでいる』のだからという罪悪感から夫のごはんを毎日作った
喜んで食べてくれる夫を見ると罪悪感も無くなる気がしたから

でもどうしても動けなくて市販の鍋スープでお鍋を作った日

夫「え?なにこれ…俺今日カツ丼食べたいって言ったよね?」

続く

【次のお話はこちら】


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