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本編

2

夫「なんで鍋なの?カツ丼は?
俺、今日食べられると思ったから
お昼も定食屋で我慢したのに」

私「ゴメン…ちょっとどうしても起きれなくて」

夫「起きれないって今起きてるじゃん
鍋作れるならカツ丼も作れるのにー」

私「揚げ物と煮るだけの料理は全然違うよ…
カツを揚げてる時の匂いも気持ち悪くて
だから作れなくてごめんなさい」

夫は私のご飯を好きだと言ってくれるし
確かにお願いされてたのに、作れなくて悪いなぁと私は思ってた

夫「ふうん…そうなんだ。今はちょっとマシなの?」

私「あ、うん。ちょっとだけ。ずっと横になってたから」

私(なんだ心配してくれるんだ…)

夫「じゃあ今からカツ丼作れるよね?俺待ってるからさ!」

私「え?」

ニコニコと期待のまなざしを向ける夫に
近くに居るのに遠い距離を感じた

私「そう…だけど、もう鍋作ってるしこっち食べてくれない?
勿体ないし…今からだと時間かかるし」

夫「だぁいじょうぶ!俺待ってるから!」

私「なにも大丈夫じゃないんだけど…今、揚げ物しんどいって言ったよね?」

夫「でもマシになってるなら作れるんじゃないの?」

私(マシになってるから、
吐きたくなるようなことしたくないのわからないの?)

朝も昼も吐いた私の顔には赤く発疹が浮かび上がっている
圧で顔の小さい血管が切れているらしい

私「ごめん。今日はお鍋食べてくれるかな?」

察してほしいと思いながら夫に頼むと
心底嫌そうな顔をしていた

夫「はぁ…まあいいけど…」

私「ありがとう。すぐにあっためるからね」

下らないことで喧嘩したくない
こういう時は笑顔で対応する

夫「はいはーい。はあ俺ってほんといい夫だわ~
トモカは幸せだな!休んで怠けてても許してもらえて!」

私(えっ…なんかおかしくない?なんでそうなるの?
怠けてるって思ってたの…?)

私「いや悪阻だから…私しんどいんだよ?
職場にも迷惑かけるし、休職するって言ったし同意したよね?
そんな風に言わないでほしいな」

夫「あっごめんごめん!そんなつもりなくて
別にそれはいいんだけどさ、でも俺も働いてきてしんどいんだよ
そこの違いわかってると思ってたから」

私(違いって…妊娠してるのはあなたの子どもなのに?)

休職期間はお金にならないのもわかる
でも退職前には有給もまとめて使えるから
差し引いても一ヶ月分の給料にはなるはずだ

今、無理をすることで
お腹の赤ちゃんになにかあったらと思うと
怖くて自由に動けない自分もいる

怪訝そうな私の表情をみて夫は軽く私の頭を撫で微笑む

夫「最近でも毎日すぐご飯食べれるから
ちょっと慣れてきちゃって。ごめんな」

私「ん…いいよ。明日はカツ丼頑張って作るね」

優しい言葉をかける夫を私は許した

そして翌日、下ごしらえしたカツは冷蔵庫に入れてある

だけど夫がまだ帰ってこない

私(いつもより遅いなぁ…)

重い眠気に耐えきれず気づけば朝になっていた

私「あれ?いつ帰ってきたの?
ごめん私寝ちゃってて…!」
夫「寝てたから外で食べたよ
しばらくそうするわ。その方が楽だろ?」


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