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本編

夫はただただ諦めたようにため息をつくだけ
夫「あー…もう…本当にないわぁ…」
私「…後は弁護士を通しますから」
玄関の扉を閉めると同時、家の中から夫の大きな舌打ちが聞こえた
マンションのエントランスまで降りると、夫の浮気相手の1人婚約まで嘘をつかれたヒトミさんが待っていた
浮気女①「…先程は取り乱して、申し訳ございませんでした」
私「いえ…」
彼女も浮気相手には違いない
慰謝料を請求してもいい立場だが夫に騙されただけと思うと、もういいんじゃないかとさえ思えてくる
でも女のカンとして1度も、夫が既婚者であることに気づかなかったのかな…と私の黒い部分があるからこそ、彼女には優しくしようとは思えない
浮気女①「これ…受け取ってください。私の気持ちです」
そう彼女が差し出してきた大き目の封筒には札束が入っている
私「えっ…」
見たことのない分厚さにたじろぐ
浮気女①「私から奥様への慰謝料です…。これじゃ足りないかもしれませんけど
自分なりに…あの人と一緒になる時のお金として貯めてきました。自分で働いたお金です」
私(まさかこんな風に自分から渡してくるなんて…)
もらうべき正当なお金…だけど鞄にしまい込むには躊躇があった
浮気女①「本当は、今日あの人と一緒に奥様に謝って…謝って…。あの人と最初からやり直せたらって
思ってたんです。悪い所も全部受け止めてあげようって思ってました。本当は優しい人だって思ってたから、嘘つかないといけないほど奥様が酷い人なんじゃないかって」
私「…そう」
私の封筒を握る力がぐっと強まる
浮気女①「でも、あんな風に裏切られるとは思っても見なくて…。私もあんな男いりません…奥様も離婚できてよかったですね」
虫のいい彼女の発言は若さからくるのか、まるで同志のような笑顔を私に向けた
さっきまであった彼女へのわずかな同情心は一瞬で消え去る
私「そうですね。あなたとも、あの人とも二度と会わないで済むと思うとせいせいします。このお金、慰謝料としてきっちり頂きますね。さようなら」
浮気女①「えっ…あの…」
私(笑顔で喜ぶとでも思ったのかな…)
最後まで彼女に同情心を見せないことが私のささやかな復讐だ
怒涛のような時間が過ぎまた月曜日になり1週間前が始まる
保育園の編入や新居の資金に彼女のお金は使わせてもらうことにした
予定よりも早く姉の家から自立できそうだ
そして今日は娘を臨時保育に預け、私はある場所に来ていた
私「すみません…こちらで働いてる○○の妻なのですが…。上司の朝倉さんはいらっしゃいますか?」
続く
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